インターネットなどで住宅系の記事を読んでいると、「頭金(自己資金)は物件の2割が目安」という内容を見ることがあります。仮に物件価格が土地と建物で3,000万円だったとすると、その2割ですから600万円の頭金が必要になる計算です。用意するのがなかなか難しい金額だと思いますが、本当に頭金を貯めてから買ったほうがいいのでしょうか?
今回は、「頭金を貯めてから買う」のと「頭金ゼロで買う」のとではどちらが得なのか、はっきりさせたいと思います。
頭金ゼロで買う場合
まずは、一般的にはよくないとされている頭金ゼロで購入する場合です。
・借入金額:3,000万円
・金 利:1%
・返済期間:35年
・支払総額:3,556万7,804円
(※「金利1%」「返済期間35年」で計算)
利息だけで556万7,804円も支払う計算。一生のうち丸1年は利息のためだけに働いているようなだと考えると、その大きさに驚きます。では、やはり頭金を貯めてから購入するほうがいいのでしょうか。
頭金を2割貯めてから買う場合
1年で貯められるお金は家庭によって異なると思いますが、仮に年間100万円貯められると仮定します。その場合、物件価格の2割にあたる600万円の頭金を貯めるのには、6年かかります。
・借入金額:2,400万円
・金 利:1%
・返済期間:35年
・支払総額:2,845万4,193円
(※上記同様「金利1%」「返済期間35年」で計算)
支払総額は2,845万4,193円、利息は445万4,193円になりました。頭金ゼロの場合と比較して、約110万円の節約効果があります。
「やっぱり頭金を2割用意したほうがいいんだな」
こう考えてはいけません。
この計算では、600万円の頭金を貯めるのに6年かかると仮定しています。そうだとすれば、その6年間は購入するのとは別の家に住んでいるはずです。これが賃貸だったらどうでしょうか。毎月10万円の物件に6年間住んだ場合に支払うお金は、家賃だけで720万円になります(契約更新手数料などは別ということです)。つまり、600万円の頭金を貯めるために720万円も使ってしまうことになるのです。
これをもとに計算すると、支払総額も変わります。
・物件を購入するために支払う金額:2,845万4,193円
・頭金を貯めるために支払う金額:720万円(賃貸の契約更新手数料などは別)
・合計金額:3,565万4193円
計算をまとめると……。
ここで一度、頭金ゼロの場合と頭金2割の場合の支払総額をまとめてみましょう。
・頭金2割の場合の支払総額は「3,565万4193円」
実は、頭金ゼロのほうが支払総額は少なくて済むのです!
さらに忘れてはいけないことが!
ここまで見ただけで、頭金ゼロのほうがお得だということはわかったと思います。ただ、実はもう一つ大切なことがあります。それは、2割の頭金を貯めるケースでは持ち家に住むのが6年遅れてしまうということです。
僕は、家を人生を彩るためのステージだと考えています。人生の大切な6年を貯金のために使ってしまい、理想の人生を実現するのが遅くなるのは得策だとは思えません。こう考えると、頭金ゼロで購入するほうが得であるのは明らかです。
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