家を購入する人にとってありがたいサイト「HOME’S」に「【元大手銀行の支店長に聞く①】住宅ローン破綻率が高いのは年収○○○?」という記事がアップされています。
気になるのは、「住宅ローン破綻率が高いのは年収○○○?」の「○○○」の部分ですよね。いったいどれぐらいの年収の人がもっとも住宅ローン破綻する危険性があるのでしょうか。
この記事によると……。
破綻のリスクがもっとも高いのは有名大学卒、大手企業勤務で年収900~1000万円くらいの人たち。
一般的には「お金持ち」というイメージが強いと思われる年収1000万円。それなのになぜ、もっとも住宅ローン破綻のリスクが高いのでしょうか。
年収1000万円の人はどれぐらいいる? その数と割合は
年収1000万円といえば、多くの男性が憧れる一つのハードルです。
国税庁の平成27年民間給与実態統計調査によれば、年収1000万円以上の給与を得ている人の数は209万2000人。これは給与所得者の4.3%にあたります(自営業や株などの投資で年収1000万円以上を得ている人もいるのですが、話をわかりやすくするためにここでは考慮しません)。100人のサラリーマンのうち、わずか4人ほどしかいないということになります。
間違いなく“勝ち組”のこの人たちが、なぜ住宅ローン破綻してしまうのでしょうか。
年収1000万円の家庭が住宅ローン破綻してしまう理由 その仕組みは?
大切なことは、実は「年収1000万円」は「お金持ち」ではないという意識を持つことです。「平均年収.JP」によると、年収1000万円の人の手取り年収は「795.1万円」。税金や社会保険料で200万円以上引かれてしまうわけですね。一方、年収500万円の人の手取り年収は「395.1万円」です。
そうだとすると、以下のような計算が成り立ちます。
▲額面の年収の差
1000万円-500万円=500万円
▲手取り年収の差
795.1万円-395.1万円=400万円
年収では500万円の差があるのに対し、手取りでは400万円しか違いありません。言い方を変えれば、年収1000万円の人は年収500万円の人の2倍お金を持っているわけではないということです。
また、一般的に株の運用で出せる利益の平均は、年利5%~6%程度とされています(もちろんもっと高い利回りを実現している方はいらっしゃいますが、ここでは考慮しません)。年収1000万円では、たとえそれを全額投資や運用にまわしても生活するだけの収入にはなりません。
病気や退職で収入がなくなるとたちまち生活が成立しなくなるという意味では、年収1000万円の人も年収500万円の人も、実はあまり差がないのです。
数多くの富裕層と直に接してきたコンサルタントの加谷珪一氏は、著書「お金持ちの教科書」(CCCメディアハウス)でこう書いています。
特に40代で大企業に勤め、妻は専業主婦というパターンが一番危ないそうだ。このタイプの家庭の必須アイテムは、海外製ベビーカー、高級鍋、ウォーターサーバー、こだわり家電などである。どれも目が飛び出るほど高額ではないが、積み重なると相当な出費となる。結果として年収が1000万円もありながら貯金ゼロという状況に陥ってしまう。
このほかに、私立中高一貫校の授業料と合格させるための塾の費用、高級車と駐車場代など、さまざまな出費がプラスされれば、家計はさらに圧迫されるでしょう。つまり、実際は年収1000万円の人も年収500万円の人もそう大きくは変わらないのに、生活レベルの違いが大きいということです。
年収1000万円の家庭が破綻しないためには?
年収1000万円の人が住宅ローン破産しないためには、年収500万円の生活と同じように生活することが大切です。高級車も海外製ベビーカーも、高級鍋もウォーターサーバーも否定するわけではありませんが、「家計の破綻」というリスクを考えると必要ありません。
固定費に大きなお金がかかっている場合は見直しが必要です。スマートホンにお金がかかっている場合は、iPhoneなどの高級機種にこだわらず格安スマホに変えていいかもしれません。生命保険や傷害保険は、インターネットで簡単に格安の保険を探すことができます。
【参考記事】
http://iewokau34.com/post-2568
住宅ローンの負担自体を減らすこともできます。「住宅ローン一括審査」のようなサイトで借り換えの一括申請を行えば、いまの半分の金利のローンに切り替えられる銀行が見つかることがあります。申請に20分ぐらいかかりますが、節約できる金利はトータルで数百万円になることもあります。住宅ローン破綻の負担を軽減し安心して生活するために、積極的に活用するといいのではないでしょうか。
年収1000万円の家が破綻してしまう原因について紹介しました。小さな生活をいかに保つことができるかが、破産しないためのポイントだといえそうです。