先日、「信用金庫に口座開設した理由|メリットがメガバンクとは大違い」で、信用金庫(信金)の利用をはじめたことをお伝えしました。僕がメインバンクにしていたのは、日本を代表するメガバンク。今後はそれを小さな信用金庫にしようと考えています。
それだけ大きなメリットを感じた信用金庫。でも当然、デメリットもあります。今回は、信用金庫を利用するメリットとデメリットを紹介します。
目次
そもそも信用金庫とは?
信用金庫と銀行は少し違います。
どちらも、お金を預けたり引き出したり、あるいは借りたりできるところですよね。でも、銀行が株式会社であるのに対し、信用金庫はそうではありません。信用金庫は、地域の人が利用者あるいは会員となって、地域を発展させるための協同組織の金融機関なのです。
……うーん、わかるようなわからないような。もう少し具体的に見ていきます。
誰が利用できる?
信用金庫は、営業できる地域が一定の範囲のなかに限定されています。利用者は以下の通りです。(たとえば僕が住んでいる神奈川県にある「横浜信用金庫」の営業地区は、横浜市や川崎市をはじめ、東京の大田区や町田市と定められています。意外に広いっ)
・信用金庫の営業地域に住んでいる人
・信用金庫の営業地域に勤めている人
・信用金庫の営業地域に事業所を持っている人、またはその役員
(※個人の方の場合のみ記しています)
信用金庫は、地域を発展させるために存在する組織。ですから、その地域に住んでいる人しか利用できないわけですね。
ただ、日本全国に250以上の信用金庫があるので、実質的にはどの地域に住んでいても利用することができます。
信金に預けたお金はなにに使われる?
信用金庫は、自社の利益を優先する銀行と違い、地域社会の利益を優先する非営利法人です。僕たちが預けたお金は、地域の発展のために使われます。
僕が信金の口座をつくった理由の一つは、この点に着目したからです。家を買って約4年が経ちますが、これから10年や20年はこの地域に住むと思います。少しだけですが、地域の発展のことを考えたいなと考えました。「たかだか口座を一つつくっただけ……」のようにも思えますが、自分が預けたお金が地域のために使われるだけでも、銀行にお金を預けるよりはいいかなと思ったのです。
信用金庫を利用するメリット
信用金庫を利用するメリットはなんでしょうか。
給料からコツコツ積み立てることで、信用を積み上げられる
信用金庫には、地域の役に立つというミッションがあります。当然、主な利用者は商店街の小さな店舗や個人事業主、そして地域に住んでいる個人ということになります。
一方、メガバンクが相手にしているのは、大企業やそこに勤める人、あるいは公務員です。簡単にいえば、高い利益をあげている会社や、高収入で将来が安定している人を主な顧客としているわけです。
メガバンクの元社員である菅井敏行氏が書いた「お金が貯まるのは、どっち!?」には、こんな記述があります。
「コツコツ貯めて信用を得る」という方法は、じつはメガバンクではあまり効果がありません。(略)でも、信用金庫なら「コツコツ戦法」が効果を発揮します。(略)人生の選択を残しておくためには、信用金庫をあなたのメインバンクにして、給料をここに振り込み、同時に積み立ても行うのです。
つまり、大企業の社員や公務員として働いていなくても、信用金庫ならコツコツ積み立て預金をすることで信用を得ることができるというわけです。
信用金庫ならお金を借りやすい
たとえば、信用金庫に給料振込用の口座をつくり、毎月4万円を積み立てたとします。すると、1年間で48万円――10年間で480万円のお金をつくることができます。信用金庫にとって、これはなかなかの金額です。
先ほど紹介した「お金が貯まるのは、どっち!?」にはこう書いてあります。
信用金庫にとって、口座に500万円の預金があれば、得意客です。1000万円の預金になれば、担当者がつくような扱いになります。
ところが、メガバンクの口座に1000万円の預金があったとしても、担当者がつくこともなければ、特別扱いされることもありません。
どちらのほうがお金を借りやすいのか。
どちらのほうがVIP対応をしてもらえるのか。
そういう視点で見れば、圧倒的に信用金庫が優位です。
つまり、コツコツと預金を積み立てて信用をつくることで、将来的に住宅ローンを組みたくなったときや事業をはじめたくなったときに、お金を借りやすくなるのです。いわゆる「貸し渋り」や「貸しはがし」のリスクが少ないことも、大きなメリットです。特に、事業をはじめる方にとっては、安心して長期的な関係を築きやすいといえます。
信用金庫を利用するデメリット
いいことばかりに思える信用金庫ですが、もちろんデメリットもあります。
メガバンクと比べると不便
信用金庫の営業地域は限定されているため、日本全国にATMがあるわけではありません。信金しか口座を持っていないと、旅行や出張中には非常に不便です。
営業地域内のATM数もさほど多くないため、必要なときにすぐ引き出せないことがあるという点も信金の弱さです。
また、積み立てたお金の扱いについても異なります。メガバンクの場合、毎月積み立てたお金を自動的に定期にまとめてもらえます。でも、僕が口座をつくった信金の場合、一度窓口にいって手続きをし、自分で定期に移さなければいけません。信用金庫にもネットバンキングがありますが、窓口にいかなければいけない手続きもたくさんあります。
金利がやや高い傾向がある
メガバンクと比較して金利が高いこともデメリットの一つです。
信用金庫は、小さな商店や個人に対してもお金を貸してくれます。利用者にとってはありがたいのですが、その分だけ人件費などのコストがかかります。
例を出してみましょう。
たとえば、メガバンクと信用金庫がそれぞれ5000万円を融資したとします。ただし、メガバンクは1社に対しする貸し付けが5000万円で、信用金庫は5社に対し1000万円ずつ貸し付け合計で5000万円という計算です。
メガバンクも信用金庫も、5000万円の融資から金利や手数料による収入がありますが、コストに差があります。当然、信用金庫はメガバンクの5倍の人件費などがかかるわけです。
これが信用金庫の金利が高めになってしまう理由です。信用金庫は地域の人のためにできるだけお金を貸そうとするのですが、そのためにどうしても金利が高くなってしまうのですね。
信用金庫のメリットを活かしつつデメリットを解消するには?
メリットもデメリットもある信用金庫。どうすれば、メリットを活かしつつデメリットを解消することができるのでしょうか。
メリットは、給料振込用口座にしてコツコツ積立預金もおこなうことで、信用を積み立てられることでした。デメリットの一つは、ATMが少なく利便性に欠けることでした。
これは、信用金庫とメガバンクの両方をいっしょに使うことで解決します。再び「お金が貯まるのは、どっち!?」から引用します。
信用金庫…“きゅうふり口座”(注:給料振込用口座)をつくる。月々の積み立て、公共料金、クレジットカードの引き落としなどは、すべてこの口座で行う。
メガバンク…すぐにお金を引き落とさないといけないときのための口座。5万円、10万円などと金額を決めて、つねにこの金額だけを残しておく。使ったら、補填する。
信用金庫のメリットとデメリットを紹介しました。信用金庫というと、メガバンクと比較するとどうしても「不便」という印象があります。しかし、上手に使えばメガバンクとは比べものにならないぐらいのメリットがあるのですね。