みなさん、健康診断は受けていますか?
会社員として働いている方はきっと毎年、指定の病院で受けていると思います。でも、本当にそれだけで大丈夫ですか?
会社の健康診断だけで安心して重大な病気の発見が遅れた方を、僕は3人知っています。
残念ながら3人とも亡くなりました。ガンでした。
目次
人間ドックで家族の絆が深まる
僕はフリーランスとして働いています。毎日慌ただしく過ごしていた結果、気が付けば5年以上健康診断というものを受けたことがありませんでした。
その間に結婚して、新築の家を買って、そろそろ子どもがほしいな……と考えています。
でも、これから住宅ローンの返済、子どもを育てる費用など、さまざまなことにお金がかかります。万一、僕が死んでしまったときは、住宅ローンの返済をしなくてもいいようにしてありますが、問題は働けなくなってしまった場合です。
収入はないのに、住宅ローンの返済はついてまわります。
収入はないのに、しっかり子どもを育てないといけません。
「早く人間ドックに行ってね」という妻の言葉を、「もう少しで仕事が落ち着くから、そのときね」という返事でやりすごしていました。
……でも、これではダメですね。
想像してください。いま、あなたのなかに病気があるとします。
でも、人間ドックを受けて早く発見すれば、命が助かるかもしれません。入院しなければいけなくなるかもしれませんが、少しの期間で済むかもしれません。一時的に働けなくなるかもしれませんが、治ったらバリバリ働けばいいのです。奥様もお子様も、あなたが回復したことをきっと喜んでくださると思います。
病気が発覚したことで、家族の絆が深まったというのはよく聞く話です。
人間ドックに行くことは、妻や子ども(まだいませんが笑)に対する男の責任――。
自分が働けなくなったせいで、妻と子どもを路頭に迷わせるわけにはいきません。僕は夫として男としての責任を果たしたい。家を買ってから約3年で、ようやくこんなふうに考えるようになりました。
検査内容の割には安く受けられる
そういうわけで、人間ドックに行ってきました。
検査項目は、
- 身長
- 体重
- 視力検査
- 眼圧検査
- 聴力検査
- 血液検査
- 腹部の測定(いわゆるメタボ対策)
- 呼気検査(肺の機能に問題がないかを調べる)
- 胸部単純X線撮影
- 上部消化管造影X線撮影
- 腹部エコー検査(超音波検査)
- 心電図検査
- 便潜血検査
などなど。
費用は約4万円だったのですが、Tポイントを使えたので約3万2000円になりました!笑 ネット検索で探してみたときは「少し高いな……」と感じましたが、考えてみれば1年にたった1回だけのことです。これだけの項目にわたる検査で病気がないか調べてもらえるなら、決して高くないと思いました。僕は、すぐに人間ドックの予約を取りました。
ところで、説明を入れないとわかりづらい項目がありますね。
呼気検査
簡単にいうと、肺の大きさや空気の出し入れについて検査します。スパイロメーターという機械を使って、肺活量などを調べます。これによって、肺結核や気管支喘息などの病気を発見することができるそうです。
(画像転載元:喘息ドットコム)
方法は簡単。まず、画像の左端についている筒のようなものを口にくわえます。そのあと、大きく息を吸って一気に吐き出すだけです。
僕がいった病院だけかもしれませんが、看護師の女性が面白かったです。検査の説明をするときはかわいらしい口調で話すのですが、検査がはじまると口調がいきなり変わります。
「大きく吸って~~~~」のあと、「吐いてっ! 吐いて吐いて吐いてっっっっ!!」と大声で指示を出すのです。さっきまでのかわいらしさはどこへ……笑 その変貌ぶりに思わず吹き出しそうになりました。
こういう風に指示を出さないとしっかりと検査ができないのでしょうね。看護師という仕事も大変だなあなんて思いました。
造影X線検査
一般的なX線検査では移りづらい部分に造影剤(バリウム)を入れて、撮影するレントゲン検査です。
まず、ちょっと大きめの粉を水で飲まされます。この粉は溶けると炭酸水になり、体のなかで二酸化炭素を発生させます。ちょっと汚い話ですが、すご~くゲップをしたくなるのですが、検査に必要なものだから絶対にしてはいけないとのこと。かなり苦しい笑
その後、バリウムを飲まされます。バリウムの量が多く、炭酸によって胃が膨れている体にはかなりちょっとキツい……笑
どうにかすべて飲み終えると、いよいよ検査開始です。機械の上に立たされて、右へ左へ、なんならちょっと逆さまに動かされます。その動かされ方といったら、NASAの宇宙飛行士訓練かと思うほどです。もちろん、そんな訓練は受けたことはありませんが、正直きびしい……笑
どうしてそんなに動かすのか聞いてみいてみたところ、撮影したいところにバリウムを移動させるためだそうです。体を傾けることでバリウムを移動させるなんて、意外と原始的です笑
この検査は、10分程度かかります。検査としては、少し長いほうかもしれません。
ちなみに、僕が行った人間ドックでは検査後に食事がついていました。これが意外とおいしくてびっくりしました!笑 季節によってメニューが変わるようです。
そんなわけで、どうにか体中をくまなく調べてもらいました。最近は、認知症やアルツハイマー、脳卒中などを予防するための脳ドックもあります。脳に重大な起こると、一人で生活することさえままならなくなります。手足のしびれやろれつが回らないなどの症状が、少しでもあれば脳ドックも一緒に受けることをおすすめします。全国から患者さんが訪れる病院があります。
検査結果は!? まさかの……
僕のドックの結果は、検査の種類によって1週間後と3週間後に郵送で通知されます。検査後に時間があれば、医師から直接聞くこともできたようですが、仕事の都合があったの郵送にしました。
……で、1週間後、検査結果が届くと、驚きの結果が。
1枚目の紙に、「要精密検査」と書かれていたのです!
ん? もう一度、よく見てみようかな……。
「要 精 密 検 査」
健康診断を受けなかった5年のあいだに僕の体に異変が起きていたのでした……。
人間ドックに行くのは、夫としての男としての義務。こんなふうに思った僕は、人生初の健康診断に行きました。
その結果を通知する封筒のなかには、「要精密検査」の文字。
詳しく見てみると……
「膵のう胞の疑い」と書いてあります。
膵のう胞(すいのうほう)ってなんだ……?
「膵のう胞」の「膵」って「膵臓」の「膵」だよな。そういえば、腹部エコー検査がずいぶんと長かったな。確か、膵臓の病気って重篤な症状になってから気づくことが多いって聞いたことがある。もしかして、膵臓癌なんじゃ……。膵臓癌って、治療成績が悪いっていうのも聞いたことがあるぞ……。
もしかして、死ぬのかな……。
膵のう胞とはどんな病気か?
そういうわけで、すぐに膵のう胞という病気について調べてみました。
膵のう胞は、膵臓のなかか外に嚢(ふくろ)ができる病気です。このなかには、水がたまっています。
膵炎(すいえん)が原因の場合は良性疾患となりますが、腫瘍を伴う「腫瘍性膵のう胞」の場合は、悪性の可能性があるようです。簡単に言えば、ガンの可能性があるということです。
ただし、腫瘍性膵のう胞のすべてがガンというわけではありません。
この腫瘍性膵のう胞は、
- 膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)
- 粘液性嚢胞腫瘍(MCN)
- 漿液性嚢胞腫瘍(SCN)
などに分類されています
このうち、最も発生頻度の高いのは、最初に挙げた「膵管内乳頭粘液性腫瘍」(IPMN)です。この病気は、良性から悪性へと変化していきます。
(膵のう胞のイメージ(出典:関東中央病院)
……だんだん、わけがわからなくなってきました。
ざっくりまとめると、
- 膵のう胞は、膵臓のなかや外に水の入った嚢(ふくろ)ができる病気
- 膵のう胞のすべてがガンというわけではないが、いずれガンになる危険がある病気
ただし、種類によっては自然と消えるものもあるようです。
※厳密に書くとかなり細かい分類をしなければいけないため、あえてざっくりした説明にしてあります。
……いずれにしても、ガンになる可能性がある病気です。放っておくわけにはいきません。すぐに、詳しい話を聞くために病院にいきました。
病院での診断は……?
「仕事を休んで一緒に病院に行く!」という妻を、「まだ病気だと決まったわけではないんだから大丈夫」と説得し(笑)、一人で人間ドックを受けた病院へ。
慌てても仕方ないという気持ちがありつつも、痛みもないし実感がわかないというのが正直なところ。株主優待券を目当てに株式投資をはじめるために、初歩的なことが書いてある本を読みながら、自分の名前が呼ばれるのを待ちました。
待つこと30分。
どんなことを言われるのだろうか……。いきなり余命を告げられるんじゃないだろうか……。診察室に呼ばれた僕は、急にドキドキしてきました。
椅子に座ると、人間ドックのときに撮ったエコーを見せられました。エコー画像というのは、素人にはなにが映っているのだかわからないものですよね。首を傾げている私に気づいたのか、医師が説明をはじめました。
「ここが膵臓で、ここに黒い影があるでしょ? これが膵のう胞かもしれないということなんです」
影!? 影っていった!?
テレビドラマなどを見ていると、「影=ガン」のイメージがあります。まだ、ガンと決まったわけではないとわかっていても、やはりドキッとしました。
「MRI検査を受けて本当に膵のう胞かどうか調べてみましょう」
結局、この日は本当に膵のう胞なのかどうかさえわかりませんでした……(病院って時間がかかりますよね)。そして、この翌々日にMRI検査を受けることになったのです。
ちなみに、この記事を書いている日は、すでにMRI検査を受け終わっているものの、結果については聞いていません。エコー画像に映った「影」の正体がなんなのか、わからないまま書いています。明後日、結果を聞きに行きます。
もし、「はじめて人間ドックを受けてみた」カテゴリの更新が止まったら、事情をお察しください笑
家族ができた。
家を買った。
家族も家も大好きだ。
せっかく大切なものができたのに、いま倒れるわけにはいかないよな。
健康診断に行くのは、夫として&男としての義務だ。
そんなふうに思った僕は、人生で初の人間ドックへ。
結果は、まさかの「要精密検査」。
膵のう胞の疑いとのことで、MRI検査を受けることになったのでした。
そもそもMRI検査ってなに? CTとはなにが違うの?
MRI検査は、磁気共鳴画像診断装置による検査のこと。
……磁力を使うことはイメージできますが、結局よくわかりません笑
簡単にいえば、強い磁力と電波をあてることで体のなかを画像化する検査です。画像は輪切り化されていて、医師曰くその幅はなんと5ミリ間隔!! 特に、脳や下腹部、脊椎、腕や足などの病気発見に効果が絶大だそうです。X線(放射線)を使わないので、安全な検査とされています。
ところで、CT検査というのも聞いたことがありますね。MRI検査との違いはなんなのでしょうか。
レントゲンと同じように、X線を使って体の断面を撮影する検査です。特に、心臓や大動脈、気管支や肺などの胸部、肝臓、腎臓、腹部の病気を見つけることに長けています。ただし、X線を使うので、その影響が気になる人もいるようで……。
僕の場合、健康診断の結果報告書には「CT検査を受けるように」と書いてありましたが、医師の判断でMRI検査となりました。
MRI検査を初体験! 具体的にはどんな感じ?
検査は、人間ドックを受けた病院ではなく、検査だけを専門で行う医療施設で受けました。そういう施設があることははじめて知りました。
病院の紹介で予約してもらったのですが、僕のほかに3人ぐらいの方がいらっしゃいました。サラリーマン風の男性、やり手キャリアウーマン風の女性、50代後半ぐらいに見える女性。
MRI検査などの大きな検査を受ける人はそんなに多くないだろうと思っていたのですが、実は結構いるようです。
当然、大きな病気の可能性があるから検査を受けに来たわけで、僕を含めてみんな普通の表情をしいているけど、実は「死の恐怖」に耐えているのかもしれません。そう考えると、何とも言えない気持ちになりました。
さて……。名前が呼ばれて検査開始です。
検査の手順は、だいたい以下の通り。
- 更衣室で着替え
- 検査に必要だという謎の液体を飲む
- 検査(約20分)
検査の流れ(これからMRI検査を受ける人で不安な人は、ココだけ読んでもOKです)
1、検査台で固定される
まずは、検査台の上に寝かせられます。そして、「内臓が動くとうまく撮影できないので」との理由で、ベルトで腹部を固定されます。これが結構きつくしめる……。ちょっと苦しいです笑 さらに、おなかの上に「おもり」のようなものが乗せられす。この理由も「内臓が動くとうまく撮影できないので」とのこと。
2、ヘッドフォンをつけられる
ヘッドフォンをつけられます。医師からの指示は、すべてこのヘッドフォンから。ちなみに面白かったのは、普通のヘッドフォンは金属のケーブルによってつながれていますよね?
(赤い丸で囲った部分のなかには、金属のケーブルが入っていますよね)
ところが、このときつけられたヘッドフォンは、ビニールのチューブによってつながれていました。おそらく、磁力を使う検査なので、金属はNGということなのだと思います。
3、機械のなかへ
検査台が動き、機械の中に入っていきます。なかはどれぐらいの空間かというと、日焼けサロンのマシーンより少し狭いぐらいです。わかりづらいですか笑 極端に狭い場所が苦手な人でない限り大丈夫だと思います。
4、あとは検査を受けるだけ
あとは指示に従って検査を受けるだけです。ヘッドフォンから、機械的な女性の声で「息を吸ってください、止めてください」などの声が聞こえます。
ただ、ここで一つ問題が。ベルトで体を抑えられているうえおもりまで乗せられているので、息を吸うのが結構大変です笑 検査を受けながら、「いや、無理いうなよ……」と思っていました。
また、息を止めている時間がやけに長いことがあり困りました。「息を吸ってください」と言われたら、できるだけ多く吸うことをオススメします笑
というわけで、約20分の検査を終えました。結果は、1週間後に聞ける予定とのことで、若干ビクビクしつつも待つことにしました。
ちなみに、検査には結構お金がかかります。僕が受けた施設では約9,000円。うっかり、お金をおろしてくるのを忘れた僕は焦りましたが、カードで対応してもらえたので助かりました。
さて、次回はいよいよ結果を聞きに病院へ行きます。
前回も書きましたが、「膵のう胞」は膵臓ガンの危険をもはらむ病気です。万一、本当に膵のう胞ということであれば、長い闘病生活がはじまるかもしれません……。
僕は覚悟を決めて病院に行きました。
家族も家も大好きだ。
せっかく大切なものができたのに、いま倒れるわけにはいかない。
こう考えて受けた人生初の人間ドックで、まさかの「膵のう胞」が疑われることがわかった僕は、医師の指示により、専門の施設でMRI検査を受けました。その結果は……。
MRI検査の結果は!?
人間ドックを受けた病院再び行ったのは、MRI検査を受けた5日後。病院側は、結果が出るまでに2週間ほどかかると言っていたのですが、検査施設は3日で出ると……。
病院に行くと、実際に検査結果はすでに届いていました。2週間と3日では、差がありすぎです。余裕を持つにしても長すぎでは……笑
さて、名前が呼ばれ恐る恐る診察室へ。イスに座ると、医師が検査結果を見せてくれました。そこに書いてあったのは。
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「膵臓にのう胞は見つかりませんでした」
つまり、膵のう胞ではなかったということです。いや、良かった! 本当に良かった!
でも……ですよ? では、どうしてエコー画像に影が映ってしまったのでしょうか。
医師によると、「腹部にはガスが溜まりやすく、そのせいでたまたま影のように見えたのでしょう」とのこと。なんだか腑に落ちない説明ですが、MRI検査まで受けてなにもないということなので、ひと安心です。
ちなみに、今回のMRI検査で胃や腸、肝臓、腎臓など他の臓器にも異常がないことがわかっています。つまり、あなたは健康です! というお墨付きをもらったようなものなのでした!
ガンでなくなった有名人
今回、人間ドックを受けたことから浮上した「膵のう胞」はあくまで「疑い」で、実際には病気でないことがわかりました。ただ「膵のう胞」は、最悪の場合ガン化する病気です。正直、いろいろと調べるなかで一度は「死」を覚悟しました。
実際、膵臓ガンで命を落とした人はたくさんいます。
千代の富士貢さん(2016年7月31日/61歳)
昭和を代表する名横綱です。1,000勝以上、優勝31回、国民栄誉賞の記録を残しました。僕は、子どものころ千代の富士が好きだったので、亡くなったときはショックでした。
今敏さん(2010年8月24日/46歳)
アニメ監督です。千年女優(2002)や東京ゴッドファーザーズ(2003)、パプリカ(2006)などの映画を遺しました。46歳での死は無念だったと思います。
坂東三津五郎さん(2015年2月21日/60歳)
超有名な歌舞伎役者です。歌舞伎以外にも、俳優としてテレビドラマや映画でも活躍しました。「古畑任三郎」の第一シリーズで観たのが、僕の最初の記憶です。晩年は、武士の一分(2006)や母べえ(2008)にも出演しました。
膵臓ガンに限定せず「ガンで亡くなった方」と考えれば、
- ロック歌手の忌野清志郎さん
- 女優の川島なお美さん
- 俳優の今井雅之さん
……など、数え上げたらきりがありません。
また、ガンで辛い想いをしている方もたくさんいます。
- ステージ4を公表した小林麻央さん
- ボーカリストでありながら声を失ってしまったつんく♂さん
- 乳房を全摘出し抗がん剤治療を受けている北斗晶さん
……など。
ガンは決して治らない病気ではなくなった……という話を聞いたことはありますが、まだまだ恐い病気です。人間ドックですべてのガンを見つけられるわけではないかもしれません。それでも、今回の僕のようになにかしらの異常が見つかることはあります。
自分のため、奥様や旦那様のため、家族のために。
僕は、人間ドックを受けることをオススメします。